セミナー案内

「人間と性」教育研究協議会 全国児童養護施設サークル主催

第34回 全国秋季セミナー

大会テーマ 「児童養護施設で暮らす子どもたちの生きる力を育むために」
~生活の中の「生」と「性」を考える~

 

私たち「“人間と性”教育研究協議会 全国児童養護施設サークル」では、「第34回全国秋季セミナー」を開催いたします。

児童養護施設の子どもたちを取り巻く社会は、日々変化しています。特にスマートフォン、インターネット、ゲーム等の普及は、成長過程にある子どもたちに、大きな影響を与えるようになりました。また、貧困や孤立した家庭で育った子どもの問題や、施設職員の子どもへの不適切な関わりなども問題になっております。このような中、施設職員は子どもたちにどんな支援が出来るかを問われています。このセミナーでは、良い支援のための多くの実践と研究成果を発表致します。子どもたちに少しでも良い支援が出来るよう、共に学びを深めたいと思います。

全国児童養護施設サークルは、“人間と性”教育研究協議会に所属し、職種サークルとして発足してから34年を迎えます。「科学教育」「人権教育」「自立」と「共生」の教育を柱に、各地区でのセミナー、関東を会場に秋季セミナーを開催してきました。また、施設の研修会をはじめとする様々な研修会のコーディネイトも行っています。この機会に多くの方がこのセミナーに参加され、学びの輪に加わっていただけますようご案内申し上げます。

第34回全国秋季セミナー実行委員会

 

12月11日(水)(定員160名)

時  間 プログラム 内容紹介 会  場
12:15 受付開始※101号室で行います 101号室
12:45 開会挨拶、オリエンテーション
13:00~15:00 特別講演①
『思春期の性の現状と性教育』

講師:蓮尾豊氏(青森県教育委員会委嘱の産婦人科校医)

子どもから大人への過渡期は精神的・身体的に成長・発育していく重要な時期です。この時期は家族や友人あるいは社会の環境に大きく左右され、時に様々な問題に遭遇し、その問題にのみ込まれてしまうことがまま起こります。そのような思春期の子どもたちに、専門的な知識経験を積みながら適切に対応し支援できるよう、学びを深めたいと思います。

講師紹介:1974年弘前大学医学部卒業。大学や地域の基幹病院での勤務の後、1995年「弘前レディスクリニックはすお」を開業。2014年11月「あおもり女性ヘルスケア研究所」を設立。中高生への性教育講演や低用量ピル(OC)の普及講演などを中心に活動を行っている。

15:15~17:00 理論講座①
『こどものみかた』 ~生い立ちの整理の視点~

講師:山口修平氏(全国児童養護施設サークル副代表、一宮学園 副施設長:千葉)

子どもが表出する言動には、これまでに受けた様々な体験が関連しています。表出した言動にとらわれず、その言動の背景にどのような体験が在るのかについて理解しなければ、言動の根本に関わることができません。この講座では、背景の一つとして「子どもへの侵入(虐待)」について、心身の発達にどのような影響を及ぼすか、また侵入を受けた子どもへの回復のアプローチについて考えたいと思います。
講座中は、日々の子どもとの養育の場面が想起する時間を心がけます。

17:15~19:00 理論講座②
『大切なわたし 大切なあなた』~『大切』という価値観に戸惑う子どもたちへの性教育実践 ~

講師:鎧塚理恵氏(全国児童養護施設サークル副代表)

児童養護施設には、年齢にそぐわない不適切な性的トラブルに見舞われた子どもたちが多く生活をしています。その子どもたちは、施設内外において性的な問題にさらされやすく、時には自ら飛び込んでしまうこともあります。職員として、その場の対応はできたとしても、今後の具体的な支援方針が立てられないと悩むかもしれません。
性教育の実践が必要・有効とはわかっていても、どうしていいのかわからない。被害を受けた子どもたちに伝える性教育とは、どのようなものなのでしょうか。
この講座では、子どもたちに『大切な私 大切なあなた』という価値観を浸透させていくために、職員として何が出来るのかを一緒に考えていきたいと思っています。
子どもたちに「大切って、なに?」と聞かれたら、あなたならどう答えますか?一緒に考えていきましょう。

 

12月12日(木)

時  間 プログラム 内容紹介 会  場
9:00~17:00 テーマ別分科会 分科会スタッフ:サークル幹事
※ 各会場に直接おこしください。
※ 昼食は分科会ごとに取ります「2階カフェテリア『ふじ』」
第1分科会 『児童養護施設ではじめる生と性の実践』

(定員40名)

第一分科会は「実践」の分科会です。性の課題を生活の中でどのように支援していくか、チームで取り組む生活支援について講座やワークを通して参加者の皆さんと相互に学びあいましょう。また、特に対応に苦慮する中高生向けの模擬実践なども行います。生活の中で行うべき支援と学習会形式の性教育実践の両輪を学び、「何を伝えるか」ではなく「何が伝わるか」を子どもの視点で考える生と性の学びの時間としましょう。
講座・実践報告・参加型実践(ワーク)を通して、「性」について参加者相互に学び合いましょう。

405号室
第2分科会 『性的虐待を受けた子どもたちへのケア』 ~子どもたちをどう理解し、どう支援するか~

(定員25名)

子どもたちが性的な被害にさらされているという報道を目にする機会が増えてきました。それに伴って、性的虐待を主訴とする入所が少しずつ増えてくることは間違いないでしょう。しかし、『性的虐待』を主訴としない子どもたちの中にも、かなりの数の子どもたちが性的虐待や性的な被害にさらされて入所に至っています。性的虐待や性被害を受けた子どもたちが、施設内外で性的な問題を繰り返し、その対応に苦慮している現場は少なくないと思います。理解を超えてしまう子どもたちの行動を、「子どもたちに一体何が起こったのか?」という視点に立ち返り、子どもたちの気持ちを感じてみましょう。性的虐待とは何かを改めて考え、見つめなおし、子どもたちへの支援に活かしていけるような、参加型分科会です。皆で一緒に考えていきましょう。

404号室
第3分科会 『子ども達が抱える性の問題を  生活の中でフォローアップするために』

(定員25名)

児童養護施設で住まう子ども達の様々な言動から、成育歴の経緯の中で性的な被害にあったり、性的なネグレクトを受けて施設に入所してきていることが推測できます。しかし、その経緯は児童票を読んだだけでは解かりません。子どもからの語りを引き出すための信頼関係の醸成は重要です。
この分科会では、性教育を行うことだけで子どもの性の問題を解決するのではなく、性にまつわる「生活課題」「発達課題」として捉える視点も必要であることを提言したいと思います。問題解決の為の丁寧なアセスメント、課題の整理、自立支援計画の策定や支援の方法について事例検討等を通して考えていきたいと思います。

参加者から事例を募ります。事例を提供できる方は、申し込みの時に備考欄にその旨ご記載ください。こちらから連絡をさせて頂きます

414号室
第4分科会 『思春期の性問題を考える』

(定員30名)

児童養護施設では、中高校生の「性」に関する様々な事象が見られます。これまでの体験した性被害への影響・交際・性的な接触・妊娠出産・性感染症、またSNSの利用やデートDVの加害被害等、その対応には多角的な視点や専門的な知識が必要となります。この分科会では、科学的な知識の習得・事例を共有し、その対応について参加者相互に学びを深めましょう。

415号室
18:00~20:00 情報交換会:レセプションホール1・2 レセプション
ホール1・2

 

12月13日(金)(定員160名)

時  間 プログラム 内容紹介 会  場
9:10 受付開始※101号室で行います 101号室
9:30~12:00 理論講座③
『セクシャル・デバイス・ネットワーク(sexual device network)~スマホ・ネットのリスク~』

講師:佐々木玄氏(全国児童養護施設サークル代表、エス・オー・エスこどもの村:東京)

子どもたちが、容易にネット環境にアクセスできる時代になり大人が思っている以上の情報を子どもたちは持っています。その中には有益な情報もありますが有害な情報も数多く含まれています。情報の取捨選択をどのように子どもたちに教えていくのか?どんな機器がインターネットにつながるか?どんな点に注意して子どもたちに関わっていくのか?スマホや携帯の契約はどのようにするのが良いか?など、事例や実践を一緒に学ぶ講座です。楽しく学びましょう。

12:00~13:30 昼食   ※2階カフェテリア『ふじ』
13:30~15:30 特別講演②
『依存症治療の新たな潮流 ~性や万引き、SNSなどの行為・プロセス依存について~』

講師:斉藤章佳氏

依存症」とは、特定の物質や行為や関係性をくり返すことで、それが身体的、精神的になくてはならない状態になり、自分ではコントロールができなくなった結果、社会生活が困難になる精神疾患です。しかし、適切な治療と教育、その後の支援によって、回復可能な病気です。その一方で、依存症に関する正しい知識と理解が得られていない上、依存症への偏見、差別も根強く、『意志が弱い』『だらしない』といった偏ったイメージに矮小化され、依存症の方やその周囲の人が適切な治療や支援に結びついていないという現実があります。本講演では、新たな依存症として注目されている「行為・プロセス依存」に焦点をあてて、これらの課題の解決に向けて、依存症についての理解を深め、みなさんと何ができるかについて考えていきたいと思います。

講師紹介:
精神保健福祉士・社会福祉士。大森榎本クリニック精神保健福祉部長。
1979年生まれ。大学卒業後、アジア最大規模といわれる依存症施設である榎本クリニックにソーシャルワーカーとして、長年に渡りアルコール依存症を中心にギャンブル・薬物・摂食障害・性犯罪・児童虐待・DV・クレプトマニアなどさまざまなアディクション問題に携わる。その後、2016年から現職。専門は加害者臨床で、現在まで2000名以上の性犯罪者の治療に携わっており、「性犯罪者の地域トリートメント」に関する実践・研究・啓発活動を先駆的に行っている。また、小中学校では薬物乱用防止教育など早期の依存症教育にも積極的に取り組んでいる。全国での講演活動も含めマスコミでもたびたび取り上げられている。
著書に話題になった『男が痴漢になる理由』『万引き依存症』(いずれもイースト・プレス)、今年11月発売の『小児性愛という病-それは、愛ではない』(ブックマン社)など。

15:30~16:00 閉会挨拶・解散

※お申込みにはパスワードが必要です。sei.jidou.circle@gmail.comはお問合わせページよりお問合わせください。