平成30年12月7~9日に東京オリンピックセンターを会場に、第33回全国秋季セミナー『児童養護施設で暮らす子どもたちの生きる力を育むために』 ~生活の中の“生”と“性”を考える~ の大会テーマで開催され、1日目160人、2日目120人、3日目158人と多数の方々にご参加頂きありがとうございました。3日間のセミナーを振り返りたいと思います。
1日目は、理論講座を2つとシンポジウムでした。
理論講座①では『「子どもの見方」~生い立ちの整理を通して~』と題し、一宮学園の山口修平さんが施設で暮らす子どもたちへの接し方や育ちの見直し、距離感の大切さと難しさ、生い立ちの整理への理解などを紹介しました。
理論講座②では、世光寮の塩田規子さんが、『子どもたちに安心安全な暮らしを提供するために必要な支援を考える』と題し、児童養護施設という子どもたちの「住まう」場をどのように整えていくべきか、安心安全であるべき場所で起きる性の加害/被害問題を食い止めるためにどのような視点で対応するべきなのかを紹介しました。
初日の最後はシンポジウムを行い、『子どもへの聞き取り-安全安心な生活を提供するために-』と題し、サークル幹事4名がシンポジストとしてそれぞれの施設での現状や聞き取りの様子などを紹介しました。参加者の方からの質問に対してシンポジストが返答する時間も多めに設けたことで、「自分の施設以外の取り組みが知れてよかった」「地域差があることに驚いた」「成功例ばかりでなく失敗例も聞けて良かった」「自分にできることは何かと考えるきっかけになった」などの感想をいただきました。また、「もう少し詳細を知りたい部分があった」「自分たちとはまるで違う環境のため取り入れることが難しいと感じた」などとの改善点や課題点もご指摘いただき、シンポジウムを久しぶりに試みたサークルとしては、今後の運営に対しての貴重な意見となりました。
2日目は4つの分科会に分かれ、第1分科会『児童養護施設ではじめる生と性の実践』、第2分科会『性的虐待を受けた子どもたちへのケア ~子どもたちをどう理解し、どう支援するか~』、第3分科会『子ども達が抱える性の問題を生活の中でフォローアップするために』、第4分科会『高校生の性問題への支援を考える』というテーマで、それぞれの会場で学びの時間となりました。8時間という長丁場の分科会でしたが、どの会場でも参加者の方が熱心にメモを取り積極的に意見を述べる場面もあり、幹事である私たちも多くの学びに繋がりました。参加者の方の悩みや困り感を把握し、少しでもヒントや対応法を持ち帰ってもらえるよう幹事も一生懸命頑張りました。前日までに事前にアンケートを集めたことで具体的な質問や悩みごとが把握できたため、それらを少しでも解決・納得してもらえるよう心掛けながら8時間の分科会を進めていました。昼食時間に、分科会で知り合った方々が笑顔で会話しながら、同じ悩みを抱えた仲間として一緒に食事をしている姿も印象的でした。分科会後は、情報交換会を行い参加者の方と幹事が集まり、2時間という短い時間でしたがしっかりと親睦を深めることが出来ました。分科会では言えなかった悩みや初日の講座・シンポジウムで解決できなかった疑問点などを幹事に伝え相談する方もたくさんおり、楽しく食事するだけでなく子どもたちや職場のために、少しの時間も有効に活用される方が多くいてサークルとしても嬉しく思いました。
3日目は特別講演『スマホ時代の子ども達のために』と題し、兵庫県立大学環境人間学部准教授・竹内和雄さんをお招きし、子どもたちの置かれているスマホ・ネットの状況を教えていただきました。実際に子どもたちが利用しているアプリやSNSを紹介してもらい、子どもたちを取り巻く現状の危険性や利便性も知り、会場からはため息や驚きの声が多く聞かれ、自分の把握していない部分を知ることでスマホやネットの怖さを実感しました。まずは、子どもたちの周りにいる私たち職員が現状を知り、その知識を子どもたちに教えることが出来るようにと何度も講演の中で再認識しまた。最後に竹内和雄さんは、今起きているトラブルや課題はスマホやネットの問題ではなく人や心の繋がりの問題だと締めくくられ、子どもと職員の関係を深めたり相談できる関係性を構築することが大切だと言われ、参加者の方も幹事も大きく頷く講演となりました。
今セミナーの最後は、理論講座③『本当に知ってる?!からだのこと~無免許運転にならいために~』と題し、助産師の鈴木みゆきさんに、からだの仕組みや助産師の視点から性に関する現状や今までの経験談を教えてもらいました。知っているようで知らない体のことが多くあり、女性の方は体についての再認識に繋がり、お互いの性やからだの仕組みに対する発見にもなりました。ここでも、最後の締めくくりは、人と人との繋がりの大切さで、対等に付き合う関係性やお互いを思い合う気持ちの大切さなど、心の繋がりの重要性を再確認しました。
多くの参加者の方と3日間一緒に学び、一緒に悩んだり楽しく会話しながら学ぶことの出来たセミナーでした。セミナーを開催する立場であっても教えられることや新しい発見が多くあり、参加者の方々が抱える悩みや現状を少しでも良い方向に導けるように、自分たちも更に勉強して向上しようセミナーを通じて感じました。皆さま、ご参加ありがとうございました。(文責:伊賀久美)